脂肪と鬱

とかくカロリーで注目される肉や揚げ物などの脂肪ですが、人間が生存するためには不可欠な栄養でもあります。ただ、エネルギーとしての活躍があまりないのも残念ですが、他にも沢山の役割を担っています。特に人間の体を作っている細胞の原材料として重要であり、健康を維持するためには欠かせません。このことはあまり注目されていませんが、皮膚や筋肉といった形として現れているものに対してだけでなく、脳で制御されている物を考える能力や感情などにも影響を与えています。 ある報告例では鬱の発生率が高いほど魚の摂取量が少なく、反対に鬱の発症率が低い程魚の消費量が多いというものがあります。人間の思考や感情は神経伝達物質やホルモンによって制御されており、これらの物質が情報を神経細胞間でやりとりしています。しかし、こういった統制のとれた状態はアルコールやホルモンのバランス崩壊などによって影響を受けることがあります。飲酒ではそのアルコール成分によって本来秩序のとれた神経伝達が混乱を招きます。また、月経最中の女性は、その女性ホルモンの乱れが、別のホルモンへも及び、情緒不安定を引き起こします。このことは鬱状態にも言えることで、中でも神経伝達物質であるセロトニンが関与していると言われています。この物質は脳に存在する神経細胞同士の結合部の隙間を行き来しています。つまり、最初の神経細胞から放たれたセロトニンが次の神経細胞へ移動する際、ここで神経細胞がうまくセロトニンをキャッチできなくなるため、鬱病を発症すると考えられています。尚、神経伝達物質には色々ありますが、思考や感情に影響を与えるのがセロトニンと考えられています。また、セロトニンは神経細胞を次々と渡って行きますが、役割を終えると再利用するために、最初の神経細胞へと戻されます。