解凍魚による腸炎ビブリオ

下痢や嘔吐、非常に強い腹痛を主な症状とする腸炎ビブリオの感染は、寿司や刺身などの摂取によって引き起こされます。また、まな板を使う際に魚介類や野菜類をごちゃ混ぜにすることによっても二次感染することがあります。この菌は塩分およそ三パーセントの海泥若しくは海水を好み、ある一定の温度以上で大量発生します。特に、夏場は温度も高くなることから、この菌による食中毒を引き起こしやすくなります。 解凍魚でよく店頭に並んでいるものでは鮭やカレイなどがあります。かつて、生と解凍した魚の区別は困難なものでしたが、JAS法改定によって解凍したものはその表示をしなければならなくなりました。こういった魚は、そのほとんどが冷凍状態で流通し、店頭に並ぶ直前に解凍されています。近年、急速冷凍技術も発展しているため、漁獲したと同時に船上でそのまま冷凍してしまうこともあります。このため、流通する間に鮮度の低下を引き起こすことなく、生とほぼ同一の品質を維持した魚が出回っています。しかし、問題となるのは解凍方法であり、やりかたによっては味を損なってしまいます。これは液汁のドリップと呼ばれる水分が、解凍と同時に流出してしまうためで、この中には旨み成分が含有されています。一旦解凍すると、その組織がそこそこ壊れてしまう上に、細菌由来の二次汚染も懸念されるため、調理する時には十分注意が必要となります。 特に腸炎ビブリオは魚介類独特の細菌であり、調理の際に注意を怠ると中毒症状を招いてしまうこともあります。