抽出溶剤

米ぬかや菜種、大豆などを原料として作られる米油、菜種油、大豆油は圧搾法と呼ばれる機械的な処理では効率が良くないと言われています。これは圧搾法によって処理した後に残った粕内に、かなりの油分が存在するためです。一般にナタネや大豆から精製される植物油は日本で非常に多く使われています。いずれもてんぷら油やサラダ油、フライ油として利用されており、圧搾法では食料資源を効率的に利用できない上に、経済上の問題も出てきます。そこで抽出溶剤(ちゅうしゅつようざい)を用いた処理が広く普及しています。この方法だと処理後の粕中にほとんど油分を残さず、上記の問題をかなりカバーできると言えます。また本剤は揮発傾向にあって沸点が低く、処理後は蒸発によって消滅するため、食物に残ることはありません。 抽出溶剤としてはヘキサンやアセトンが知られています。ヘキサンはフライ油やサラダ油を採油する際に用いられるもので、低い沸点であることから処理後に食品へ残存させることはなく、品質を劣化させることもありません。この物質は石油を精製したもので、n-ヘキサンを主成分とします。特有のにおいを持ち、無色透明の液体です。高い揮発性を持ち、広く利用されています。 アトセンはプロピレンを酸化したもので、プロパンの脱水素から得られます。プロパンは天然ガス成分です。油脂や水、アルコールなどへ容易に溶け出し、独特のにおいを放ちます。また無色透明の液体であり、揮発性も高くなっています。チョコレート用油脂など食品加工油脂やガラナ豆の有効成分を取り出す際に用いられ、その際品質劣化も見られません。